バンク・オブ・仏陀の道2012 Vol.2

『暗運たち込めるバングラディシュへ』

 

6月始め僕達はアシシュをバンコクに残しアウンとともにダッカに降り立った。ここから夜行バスで7時間バングラディシュ第2の都市チッタゴンに向かう。今回はCS(四方僧伽)の事務局長である上川氏が一緒に動向した。彼は初のバングラディシュ訪問で、期待と緊張が伝わってくる。全てのBOBサイトを回るとはりきっていた。

いままではいつも一人で訪問していただけに心強い限りだ。

いいづらい事やびしっと言いたい事はすべて彼に言ってもらい、俺は陰でしこんで知らんぷりして通訳するというもくろみだ。

 

都市間移動バスに乗るためタクシーでダッカ市内に入った。相変わらのずのゴミとホコリっぽさ、排気ガスの臭いとクラクションの音に、いやおうにもバングラディシュ来たことを実感させられる。信号で止ると音も無く物乞いをする人々が寄って来る。

弱々しく手を差し出す。誇りを奪われ希望の光を失った目、怒る気力さえもなくした眼孔の奥底は深い悲しみに満ちている。

 

その目は知りたくもない真実の不幸を語り、俺の胸を突き刺し脳裏に焼き付く…。

 

 

(6)物売りと物乞い/ダッカ

006物売りと物乞い

(7)物乞いの老人/ダッカ

007物乞いの老人 

(8)ダッカ市街地/ダッカ

008ダッカ市内

ちょうどその時期こんな事件が起きていた。

…バングラデシュでミャンマー難民1500人追い返す… 

ミャンマー西部ラカイン州でイスラム教徒のロヒンギャ族と仏教徒の対立が激化している問題で、AFP通信によると、バングラデシュ国境警備当局は3日間で同国側に逃れてきた計660人以上のロヒンギャ族が乗った計16隻の船を海上などで発見、ミャンマー側に追い返した。

 大半は女性や子どもで、下痢などを訴えていたという。AP通信は追い返されたロヒンギャ族は1500人に上ると伝えた。バングラデシュに難民などとして居住するロヒンギャ族は20万人以上とされるが、同国政府は「難民受け入れは国益にならない」(モニ外相)とし、ラカイン州での民族対立の激化後、国境の監視態勢を強化している。

 これに対し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は懸念を表明。人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは12日、「国境封鎖で人々の命を深刻な危険に追いやっている」として同国政府に難民受け入れを求める声明を出した。

時事通信

チッタゴン広陵地帯南東部は、ビルマ(ミャンマー)西部ラカイン州と国境を接し2009年に僕が初めてバングラディシュに来た時、そこに暮らす違法ビルマ移民の土地ナサローン村を訪ねたことがある。

そこで暮らしているのはこのラカイン州から来た仏教徒ラカイン族の人たちである。形としては違法移民だが村沿いを流れる大河を渡れば、すぐ対岸はビルマである。昔から存在するバングラでシュの中のビルマ人(ラカイン族)の村として半ば公認されて自由に行き来している。

ラカイン族は言うなれば広陵地帯(CHT)に暮らすエスニック、ジュマ12部族と同類である。国境により部族が分断してしまったようなもんだ。そのため広陵地帯(CHT)にも、ビルマから亡命したラカイン族の暮らすコミュニティがたくさんある。

僕達がバングラディシュに着いて早々、すぐ悪いニュースがあった。そのラカイン族のナサローン村で当局による強制捜査により抵抗した村人たちに多数の死傷者が出ると言う事件が起こった。4人が死亡その中には妊娠した女性も含まれていたらしい。

このタイミング!想像するにイスラムのロヒンギャ族と仏教徒のラカイン族による抗争が激化しているなか逃げて来た違法難民を摘発しに来たのではないだろうか、、。

実を言うと次に展開するブッダバンク予定地の一つが、このラカイン族の暮らすナサローン村なのだ…。そこから将来はビルマ国内へもブッダバンクを広げて行く構想がある。

本来はそのために訪問し視察する予定であったのだが、地理的に最低2日を要するため今回はスケジュールの関係で断念していた。

着いて早々なんとも重いニュース、そこに不思議な偶然がかさなる…

(9)マップ:バングラディシュとCHT(チッタゴン広陵地帯)

009マップ

さらにもう一つ暗運立ちこめるニュースが入って来た。アウンが不安そうにパソコンのウエーブサイトを指差す「伊勢見てみろよこれ」そこには新聞によるバングラデシュ政府のある決定事項が掲載されていた。内容はCHT(チッタゴン広陵地帯)においての100以上ある多すぎるNGOの数を強制的に10%減らすというのだ。理由は、あやしい活動をしているグループがあり治安と管理のため規制を強化する。ということらしい。

やばいな~俺たちのCatudesa sanga Bangradesh (四方サンガ バングラデシュ)はどうなるんだろう。せっかく大金はたいてNGOの認可受けたばかりなのに…さらにアウンのエコプロジェクトは…?この仕分け対象に入ってなきゃ好いが…。

くそ~何が怪しい活動だよ!怪しいのはお前達官僚どもじゃないか!いいだけバクシ-(袖の下)で私腹を肥やしやがって…NGOの認可に必要な経費の9割は賄賂じゃないか…。

アウンがぼそっと言う、「まあ大丈夫だろう、、多少金を渡せばいいいのさ、、。」

ようするにNGOなどの活動に海外のドナーから出資される高額な支援金に眼をつけて、その一部を自分たちにも回せ!そうしない組織は潰すぞ…って言ってるのである。

あいつら何処までも腐ってる、、。

この国では政府の役人はもちろん国連のスタッフでさえ、イスラム教徒のベンガル人でしめられているだけにジュマ(エスニック)の地域のために真剣に取り組もうとする人は少ないと地元の人は言う、、。

(10)バス停でたむろする若者/ダッカ

010バス停でたむろする若者

(11)物乞いの少女/ダッカ

011物乞いの少女

Vol.3『シャンガプリア僧侶の寺とブッダバンク』
『ウノポンの古里ポットバラ村』

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