バングラデシュ「仏陀バンク」感想と展望 by 伊勢祥延

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感想と今後の仏陀バンクプロジェクト展望

今回のひとつの重要な目的として、ルールの一本化がある。
そこで直面した新たな課題に、成功の鍵となる、条件のととのった村を探す事がどれだけ難しいかという事。
何と言っても村の結束の要となる、信頼のおけるカリバラ(村の長)の存在と、協力を惜しまない僧侶と寺院の存在
100カ所村プロジェクトは素晴しい企画だが、2年でそれだけの条件のととのった村を見つけるのは難しいだろう。
さらに武装ゲリラや政治活動などと強く関わりのある地域が多い事。などを考えると慎重に進めなければいけない。
当局の監視なども活動を大きく妨げる。

•100カ所村プロジェクトの地域ごとの分布は、バンダルバン県30(ラマ群10その他20)ラガマテ県30、カルガチョリ県20、ラグニア郡などのボルワ人地域20、計100の達成には早くても2~3年を要する。

•「デモンストレーション」
アウンの提案、それはBOB受益者による一定の規模の、共同のフルーツガーデンや香辛料などの農場を作り、誰が見ても一目で分かりやすい成果として紹介すること。

•仏陀バンクのパンフレット、バングラデシュ語版の作成。

•CS(四方僧伽)ショップ

一度撤収することとなった。理不尽な差別と格差を無くし、公平な取引が出来る環境作りの取り組みではあったが、きちんと理解されていない等問題も多々あり、今後に課題を残した。見方によっては、店を出したい人がいて低金利で融資しただけに過ぎないと言われても仕方のない感もある。
経営には口出し出来ない事や、内情を監視しづらいなど問題点も多く、今後の改善が必要である。
個人に委託せず、地域で組合を作り運営出来るところで行なうなど、条件を満たさないと難しいことを認識する必要がある。
しかし良い人材がおり、組織で管理出来れば画期的なシステムである事は、ナランギリボリバラ村や、米問屋などで証明されている。今回の経験は良い楔となり、いずれ仏陀バンクの村が増えた時、必ず需要が生まれ、このノウハウや人材は生かされるはずだ。
ナランギリボリバラ村の店主は儲けて欲に走ってしまったのが原因であった。CSショップに関しては一月ごとの返済や口座を作る事も必要になるかもしれない。

ナランギリボリバラ村は、来年の4月満期のおり残金を回収したのち、村の女性達に話しを持ちかけ再スタートの意志を問う予定である。それ次第でこちらの支援の姿勢を検討する事になる。

NGO化の必要性

これまでもそうだったが、仏陀バンクは、基本的にアシカやエコなどの現地NGOの協力がなければ、成功しなかった事は明らかな事実だ。という事は共同プロジェクトである。しかし四方僧伽・バングラデシュは正式な法人ではないため、個人と個人のつながりと信頼関係で運営されて来た。しかし規模が大きくなり現地職員の雇用などが必要になって来た今、NGO化し正式な方法でプロジェクトを依頼が出来るようにする事が必要不可欠である。そうする事で依頼し報告だけですむ議案も増え、円滑になって行くだろう。

また許可証に関してもNGOの活動となると管轄が違う。ダッカにあるNGOボーンと言う専用の部署が担当するため、UNDPなど大きな組織などは許可が下りやすい。
事前のスケジュールの申告、ひと月おきなどの報告義務、自由がないなど面倒も多いようだが、訪問という形を取る個人と、組織としてのボランティア団体と、両方の間口がある事は今後望ましい。
ちなみにツーリストという形もあるが、コースを決め高いホテルに泊まりガイド(監視兼)を雇う、ブータンやロシアに観光する様な形。

そういう意味で四方僧伽・日本とは別に、バングラデシュ国内のNGO登録も将来に向け進行中である。情勢を見ながら政府が前向きな時期にいつでも行なえる準備をしておく。

アウンの印象に残る談話

現在UNDPや、ADPなど大手が豊富な資金で各地にたくさんのプロジェクトを展開してる。しかし、それらの多くは失敗するだろう。なぜなら彼等は、現場を訪れようとしない。村人と交流しようとしない。立派なホテルに泊まり安全な車に乗り街中のオフィスの会議の中だけですべてを終わらせてしまう。
必ず村を訪問し、直接村人と会話することは、今後四方僧伽にとって特に重要視するべきと感じます。これまでの成功の鍵は顔の見える活動、現場主義、交流、これがあっての仏陀バンクであること。仏陀バンクのポリシーとして受益者や僧侶、コミュニティが一丸となる事に大きな意味がある事は知ってのとおりだ。相手にそれを望みこちらがそれをおろそかにする事があってはならないと感じる。四方僧伽創設者・井本勝幸以来の伝統とすべき。

今回新たに訪問した村のうち、選挙でこれなかったボルワ族、ラグニア地区の一カ所を除いて、すべての村の代表が総合ミーティングに参加することができ、お互いを知り学び交流しあえた。そして主だった僧侶、全役員の参加の中でお金の受け渡しが行なわれ、新たなスタートを切ったことは仏陀バンク始まって以来の最も意義深い日となった。

100の村を達成した時、それぞれの村から原資を捻出し仏陀バンクを受益者を増やして行けるようになる。
今後数が増え安定して行けば、もし何所かの村や地域が失敗しても回りでカバー出来るようになるだろうとアウンは言う。

そんな日が一日も早く訪れる事を願う。

そして今回はじめて国家権力による圧力を肌で感じた。そもそもその様な事が起きて当然の土地で活動しているから自然の流れかもしれない。当局が無視出来ない存在になったとも言える。今後その壁は大きく立ちはだかり多くの困難を要する事になるかもしれない。しかし歴史的にも先人が達成して来た偉業には、必ずと言っていい程難がおこっている。
それだけに仏陀バンクの使命は重く尊い。必ず仏意仏勅にかなった行為との確信を持って押し進めて行きましょう。
伊勢祥延

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