伊勢祥延 の「Calendar Photoの追憶」21

2007 12月 Inner soul

南米ボリビアの美しい古都サンタクルスから首都ラパスまでの850キロ(16時間)永遠と続く一本道をローカルバスで走行していた時のこと。
突然バスは止まり外を見ると、地平線の遥かかなたまで車が止まっている。交通事故で遮断されたらしい。
乗客は暇を持て余し外に出てはうろうろ、俺も同じように徘徊してるとポツンと一軒の民家があった。木造の質素な家は農家を営んでるようだ。興味本位で覗いて見ると、中からいかにも南米らしいインディオの少女が恥ずかしそうに現れ、家の中に逃げないよう、なだめながら写したのがこの写真。

それはいいとして、バスは依然動く気配はない。目的地のラパスはまだ遥か先、ラパスといえば一国の首都としては世界中で一番高いところにある街。海抜5千メートルを超える。したがって今いるこの場所も優に4千メートル近くあり、俺はすでに高山病で足元はヨロヨロしている。
乗客たちが何か叫んでる、幹線道路を外れ違う道を行けと言ってるようだ。
一人のおばちゃんが「バモス」(行け!ゴー)と叫んだ、すると後ろからもバモスと男性が叫ぶ、左右からも聞こえ出す、その声はどんどん増え、やがて連呼、バモスコールが始まった。バモス、バモス、バーモース、バーモース、俺も便乗して拳を振り上げ一斉に叫ぶ!

やがてドライバーもその声に押されたのか、突然エンジン音が鳴り響く、と同時に拍手が車内になり響く。バスは90度ハンドルを切ったと思ったら勢いよく今来た道を外れる、、、と言うより脱線!
なんと走り出したのは道じゃない!ラフな泥沼の荒野だった!
いきなりしけた海原を小舟で航海するような激しいアップダウンと左右の揺れに包まれる!あ〜俺もう死ぬかも、、、必死に椅子にしがみつく、そうしないと天井に頭を激突するのだ。

そして暫くするとやっぱり来た〜、、、!一番恐れてたことが。

車輪がぬかった

乗客たちはさほど驚く様子もなく、いや想定内か、、⁉︎
おばちゃん以外は全員バスを降り後ろに回って押す事になる。ひえ〜!このでかいバスを押せってかよ〜マジ死ぬなこりゃ。大げさじゃなく本当に死にそうだった。一度ぬかったバスの車輪がそう簡単に出られるわけもなく、船をこぐように何度もなんども全力で押す。雨で泥と化した地面から泥水が跳ね上がり服は文字どおり泥々。やっとの思いでバスが動き出すと、今度は全員走って飛び乗らないと行けない!止まった途端にまたぬかるからである。

しか〜し

俺一人走れず取り残される!そう高山病、息が切れ切れ、体重は普段の3倍に感じるほど重い!富士山の頂上近い高さで走ってるのだから、、!
地元の人間は平気だが、一番若い俺だけがついて行けないのだ、まるで違う惑星からやって来た宇宙人みたいなもんだ。スピードを落としてもらい、なんとか乗車、一人違う気圧と引力の中にいることを、誰も理解できないからバスに戻るとひんしゅくムード、「お前何やってんだよ〜またぬかったらどうすんだよ〜」みたいな顔される。

とは言え、しばらくすると体調が悪いと言うこが伝わり、みんな優しいいつものラティーノのだった。

 

 

事務局員紹介 仏陀バンクプロジェクトリーダー 伊勢祥延(いせよしのぶ)

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