上川泰憲「仏陀バンクのキセキ」仏陀バンク構想

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「仏陀バンク構想」

カンボジアでの諸々のプロジェクトを進めていくうちに、井本氏の目には多くの現実が見えてきたようだ。特に貧困の問題である。

ある時、一人の女性と出会った。女性は籐のかごを編む仕事をしていた。仲良くなりいろいろな話を聞いている内に仕事の話になった。「私は仕事をしているが、お金が手元に残らない」不思議に思った井本氏は詳しく話を聞いてみると、実情はこうだった。

女性は自立するために籐を編む仕事を始めるためにお金を借りた。材料を買い、商品を作り、マーケットに売りに行く。得た収入で返済するのだが、高利貸しからお金を借りたため、利息分しか返済できない。そもそもこのような女性がお金を借りることができるのは高利貸しからのみである。

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そこで井本氏は、無利子でお金を貸すことができれば、この女性は確実に自立することができると考えた。実際にそんなことが可能かどうかを調べていく内に2つの金融システムに辿り着いた。「マイクロクレジット」と「地域通貨」である。
この二つをうまく組み合わせて、仏教の無利子銀行「仏陀バンク」の構想を立てていくのである。

 

私がこの構想を初めて聞いたのは、南インドのチベット自治区、ホテルの部屋の中であった。最初はよくわからなかったが、もしも無利子でお金を貸すことが可能であるならば、人々は確実に自立できる。それと同時に、貸したお金を返してもらい、新たな人に貸すことができれば、最初の資金で人を自立し続けることができると直感した。「これはすごいことになりそうだ」と彼の地インドで思いを巡らすのでした。

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