坂田事務局長の「仏具修復旅日記」3

秋のお彼岸も過ぎて、なんとなく秋らしくなってきましたね。

今回のコラムは、移動中のハプニングではなく本業に関してのコラムを書いてみました。
寺社仏閣の宗教用具を取り扱うことを本業とする以上、寺院様の仏具・仏像を修理や新調させて頂くことが圧倒的に多くなります。

小さな仏具ですと持参して、お客様にお預けさせて頂くのが通常ではありますが、大きな仏具に関して云うと厄介なものも正直言うとあるのです。

それは、幢幡や天蓋といった「吊りもの」なのです。須弥壇やお厨子などは、大きなものでも設置すればOKなのですが、「吊りもの」に関していうと・・・かかってくる手間が半端ありません。皆さん寺院の天井裏になど上ったことはないでしょう?
「吊りもの」を設置するときは、既存のものを修理して元に戻す作業ならばたいして問題にならないのですが、建て替えなどの際は、「吊りもの」を吊り下げるフック(巨大なヒートン)を天井裏にあがって、しっかりと固定してからでないと吊るべきものが吊れなくなります。位置が定位置かどうか確認して、大きさに合わせて天井裏からフックを頑丈に固定して「吊りもの」を釣り下げることができるようにしなければなりません。

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古い建物に新調したものを新たに取り付ける場合、天井裏は毎日掃除をするところでもありませんので・・・ネズミの死骸やら変な虫やらを掻き分けて天井裏を移動しなければなりません。洋服が汚れると云ったようなことは、まったく関係なくなり、秘境の地を掻き分けるという感じで天井裏と云う未知の空間で移動しなければなりません。
しかも夏場は特になのですが、冷房などあるわけでもなくサウナの中で高所作業をするという思い出しただけでも汗でびっしょりになってきます。長時間サウナの中にいるわけですから頭がボーっとしてきますし、汗は滴り落ちるし、ありがたいものを取り付けているはずなのに生き地獄を味わうことができます(笑)
逆に冬場は、芯から冷えてきますので・・・夏場とは逆の生き地獄です。

もし「吊りもの」を取り付けることがあるならば、季節の良いときがありがたいのですが、そうもこちらのワガママを言ってられません。。。

「吊りもの」を取り付ける作業、埃と汗で泥だらけになってしまうという話(愚痴)でした。

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