
10周年を迎えたチャリティカレンダーは2007年から始まった。
これまで四方僧伽が主要な活動を行って来たカンボジアを、多くの人に知ってもらおうと出版することになった写真集『カンボジア・ボイス』を記念して作られたのがチャリティーカレンダーの始まりです。
記念すべき第一回は、カレンダー及び写真集のカバーページに使われた渾身のスローシンクロ。
プノンペン郊外にあるスラムで撮影されたもので、最も貴重なショット。この写真があったからこそ写真集は生まれ、結果カレンダーが出来、そして10年間継続する事になったと言ってもいい。
なぜ渾身のショットか!技術的な事に触れると、薄暗い夕方という条件下、スローシャッターで胴体ぶれの動きを出しながら僅かの光量のストロボを炊き表情を静止させる。子どもの予測出来ない動きで計算どうりの撮影はほぼ不可能に近く、実際同じカットを30枚以上取っているが、綺麗に表情がぶれずに撮れたのは、これ一枚のみだった。カメラ雑誌じゃないんだからそんな解説はナンセンスですね!
重要な事はこのスラム街、撮影から約半年後には消えてしまっていたということです。当時のカンボジアはインフラなどのソースをすべて海外から買っていました。例えばガスはべトナム、電気はタイからというように。平均の月収8000の国がガソリンは何と日本より高かった。それはカンボジア政府は近隣諸国に莫大な借金をしている事を意味します。
その借金の肩代わりに政府は土地を切り売りしています。その土地とは、そう、このような弱い立場の人達の暮らすスラムなどです。突然立退きを要請され警察や軍の圧力下で強制的に他の地域へ追いやられる。そんな出来事が日情的に起きている。
この写真から発せられる空気感と背景、そんな土地で暮らす人々のことを感じてください。
