2010年度:世界平和法要レポート
2010 世界同時平和法要レポート
今年、2010年度の世界法要はタイのマハチャイのお寺で3日間に渡りおこなわれました。世界20の国と地域から120名を超す代表が集い、環境問題から人権問題そして根強い貧困問題に対して闊達な意見交換が繰り広げられました。
各国の抱える厳しい現状と共に未来への希望となるプロジェクトも多々紹介されて力強い意志の確認がなされました。
世界法要の期間中100名を越える難民ビルマ人の方々の献身的なサポートのおかげで会議はスムーズに進行しました。
会場には連日入りきれないほどの市民が詰めかけて、各国のレポートを傾聴する真摯な姿に身が引き締まる思いでした。
2010 アジェンダ(課題&決定事項)
カンボジア
●仏陀の池、米銀行
●安詳池(第4仏陀の池)がコンポンスプーに完成。
●バッタンバン州タグネン村(米銀行、仏陀バンク)、
同プレイプリエル村(第1仏陀の池、仏陀バンクの融資によって米銀行を運営、小学校の改築)、
同オスラバーン村(第2仏陀の池)、
コンポンチュナン州チャンパ族イスラーム部落(仏陀バンクの融資によって米銀行を運営)、
プレイベン州(キエさんの出身地)、
タケオ州(第3仏陀の池)、
コンポンスプー州(第4仏陀の池)
プノンペン(CSカンボジア本部、仏陀バンク)
各地の代表者等100名がセカヘイ・カンボジアの際にプノンペンのセンターに集結し、情報交換や 今後の協力関係についての協議等、親睦を深めた。また、セカヘイの際に、イスラーム教徒をはじめ とした新たなCS参加者たちが先進地域のプロジェクトを視察したことで、プロジェクトの意義や運 営方法について理解を得ることが出来た。こうした結集は今後の「高度な自治」関係の構築に必要不欠。
●仏陀バンク
仏陀バンク・プノンペンで、3件(名)が未返済のまま逃亡という問題。それ以外は、プノンペン、バッ タンバン共に順調に返済中。また、日本同様に、各仏陀バンクの代表者によって構成される「仏陀バ ンク・カンボジア協議会」(国法に則った法整備・調整の機関)を設置。現在は、法整備に当たり始めた。
●地域通貨
仏陀バンクの柱のひとつである地域通貨BDについては、プノンペンのセンター(本部)にて月1回のBDフリー・マーケットを開催しているものの、地域通貨そのものの意義についての深い理解には未だ至ていない。
●今後のネットワークとして、自然農法・農産加工品の生産・販売を行う「CEDAC」と連携。
CEDACは現在、カンボジア国内6州で72件の農家と連携し自然&有機農業を営み、プノンペン市 内に4か所、シハヌークビル市内に1か所の販売所を設けている。
●カンボジアの伝統的な竜骨水車「ロハッタ」をCSチェンマイ(タイランド)の農地(貯水池)に寄贈。
(今月18日に設置した)
CSカンボジアのキエさんがCSアラン(タイ)のソムヨットの協力で、チェンマイに入り、コメンのアレンジで設置した模様。
●香木については、現在も尚、樵を探し中。
●AIM「国際ボランティアを育てる会」がCSセンターに発電&揚水用の大型風車を設置。
タイランド
●仏陀バンク・チェンマイ(添付)は、現在1回目の融資・返済期間中。うち、3カ月での返済を予定 していた4名はすでに完済。チャンマイ市内の食堂や若い女性向けの洋服屋さん等、農業よりも商業への融資の方が循環が早い。
●メンバー内で、1日1バーツの別枠の積み立てを行い、原資の増資に充てようとしている。すで に7.000バーツが貯まった。
●関連して、チェンマイ、ランパン、チャヤプーン(北タイ)の主婦メンバー等が、農産加工品や手工芸品(ハンディー・クラフト)の製作を考案中。
●チェンマイのCSアシュラムは、農作業や農産物の運搬用の車(ピックアップ・トラック)が必要。現在、中古車を物色中。
●仏陀バンクは、CS日本からの原資の支援とは別に、チャリーダ女史の率いるタイのNGO,Peoples Empowermentが独自の原資で、タイ国内に逃げてきているロヒンギャ難民(ビルマ)とクメール・クロム難民(ベトナム)の Societyに対して1年間運営されてきた。
しかし、資金難の問題があるため、今年のセカヘイで、CS日本より35万円の増資を行った。CS・北海道は別途にて独自の支援を行った。
こちらの報告は未だ上がってきていない。
●仏陀バンク
CS・バンコクは、芸術・芸能および環境・人権分野での社会的起業を模索するArt to people プロジェクト、Eco-Tour プロジェクトに合計100万円の融資を行っており、現在、タイを中心に、その周辺国での公演やツアー・アテンドを企画中。
尚、これらの事業の返済金は、そのままCS タイの仏陀バンクにプールされ、仏陀バンクの原資として引き続き活用される。
●仏陀バンクはタイに於いても国家通貨の小規模融資が中心になっており、地域通貨BDに対する理解 を深める必要あり。
●CSアラン(アランヤプラテート)は、今年もセカヘイの主要開催地としてソムヨットが活躍中。カ ンボジアの国境に位置する為、CSカンボジアとタイとの連携・連絡に当たっている。
●サンティ・アソク(タイ国内全域に展開する仏教宗派)やチェンマイの自然or有機農業および有機肥料生産者グループと連携し、仏教(宗教領域)をベースとしたCSネットワークに、「食」への理解と行動を加味し、今後のより良い「高度な自治」の在り方を追及する。来年は、カンボジアのCEDAC等、循環型農業関連の個人・グループとセカヘイ等の契機に、今後の協力方法等についての話し合いを持つよう結集する。
●タイランドは政情不安を抱えるものの、CS全体のネットワーク上の中核地であることは地政学的に 不変。
●また、今年のセカヘイでは、Save The Mekongより講師を招き、メコン川の水位低下問題について の講演を行った。メコン川に限らず、インド~バングラを流れるブラマプトラ川も中国のダム建設の 影響で水位が低下しており、CS全体および各国としても、Save The Mekongの活動に協同するよ う呼びかけた。
以下は、参照↓
http://www.facebook.com/pages/Save-the-Mekong/105507516145136
ラオス
●ラオス上座部が主催するBDP(Buddhist for Development Projects)と連携。
●その他、CSラオスのスタッフとしてブンミーさんが加入。今後の中国ミッション等で動いてくれる人物。
- セカヘイのラオス・ミッションとして矢野さん(CSタイ)が渡航。BDPと共催して、子供の僧侶等の研修会にてパントマイムを披露。
ビルマ
●今年のセカヘイ・タイランドは、CSビルマがホスト役となり、常時100名を超すビルマ人達のお給仕を頂き、マハチャイで開催した。
●セカヘイ・ビルマ・ミッションは、メソット(ビルマ・ミヤワディーとの国境)にて、Best Friend Libralyと共催した。http://www.thebestfriend.org/
●Best Friend Libralyは、欧米とビルマ人とのネットワーク組織(本部はチェンマイ)だが、今後はCSのアジアでのネットワークと協働する。
●仏陀バンク・マハチャイは、現在、マハチャイ市内7か所に支店を持ち、それをアシン・ヴァヤマのお寺で統括するというかたち で運営している。
1年間で180件の小規模融資を行い、全額が完済。
現在は、4回目の融資サイクルに入っており、融資件数は以下の通り。
支店代表者名 | 融資総額 | 融資件数 |
---|---|---|
1.Ko Mg Tun | 50,000B | 19 |
2.Win | 45,000B | 23 |
3.Apwa | 70,000B | 10 |
4.Kyee May | 80,000B | 4 |
5.Ko Zan, Ko Ag Win | 30,000B | 3 |
6.Ko Hla Soe | 30,000B | 5 |
7.Khi | 48,000B | 3 |
合計 | 353,000B | 67件 |
- 以下は、仏陀バンク・マハチャイでのビルマ人メンバー(受益者)のアンケート調査結果。(英文を 原文のまま掲載)
- 質問1.What do you think about BOB?
- Ans. -BOB makes the human’s current problems easy.
- -BOB is fine in time.
- -Pleased that BOB helps suprise for making work-permit.
- -Very good for migrants!
- -BOB is good No-interest bank.
- -Surly pleased with BOB’s warmly welcomed & good help.
- -Very good benifits for all.
- -BOB is essential needed.
- -BOB save the man from the trouble field.
- -Respect the kindfullness, good wishes, noble moves of BOB.
- -So thanks.
- -Reliable bank for us, migrants.
- -Rays in the dark.
- -BOB is a saving log for sunk.
- -Founded with the good person.
- -Simple, clear and the best, BOB.
- -Noble are here.
- -Essential for
- +living (ex) very few daily income.(30~50B and jobless)
- +social case (ex) Wedding
- +economics (ex) investment for bisunesses
- +emergency (ex) Thai police arrests and we pay outside money to them.
- Health care
- Inside Burma, families accident and sick.
- +troubles (ex) not enough to stand.
- migrants carry charges.
- Q2. What id good points about BOB for you?
- Ans. -BOB supports our weakness.
- -BOB saves from the burdeen of interest.
- -Free from the burden of interest and the loan renew my life.
- -Very convinient for return to Burma
- -Solved our family’s difficuly.
- -To pass through the life lightly.
- -So many times helps me and my friends.
- -Can close the bad mind and encourage to be refresh easily.
- Q3. Do you have any problems with BOB?
- Ans, -Nothing to have problems.
- -Very satisfied.
- -We have no peoblem.
- -All OK!
- Q4. Please give us your idea or opinion about BOB?
- Ans, -Long life! BOB!
- -May be develop in many places successfully.
- -Please make BOB wider, solidarity and stronger.
- -May help whatever troubled.
- -Never withdrow.
- -Please make migrants peacefull.
- -BOB is qualified, no need to give advice.
- -Holding the success and going ahead!
- -May be peaceful!
バングラデシュ
●紆余曲折の経緯を経て、ついに仏陀バンクを5か所で開設。バングラ・ミッションを導かれた伊勢さん、 お疲れ様でした!
- 問題は、これからの返済。
The issues are sent for kind information of all concerned.
Members of CS-Bangladesh team have extend their hearfelt thank to IMOTO specially
A total of 500000 YEN equivalent BDT.375000 has been provided as donation for 5 BOB in Bangladesh.
Name of address and number of BOB opened are mentioned in the table below:
District Upazila/Union Number of BOB BDT
Bandarban Rajbila union 01 87.000/-
Chittagong Potia upazila 01 75.000/-
Chittagong Rowjan upazila 01 75.000/- addition-
From Ise,20.000/-
Total-95.000/-
Rangamati Rajastali ipazila 01 69.000/-
Rangamati Rangamati sadar 01 69.000/-
CS fund from IMOTO 375.000/-
Addition from ISE 20.000/-
Total fund 395.000/-
Money has been distributed in 3 BOB in presence of ISE YASHINOBO, CS-JAPAN representative.
He could not attend other 2 BOB while distributing money due to lack of time. But it has already been taken decision that he would visit rangamati in person and open BOB.
Regards
Aung
CS Bangladesh.
●その他の情報は、伊勢さんの日記を読まれて下さい。
スリランカ
●ダモーダヤは、予定地アンパラでの仏陀バンクの設置を断念。
内部からの協力が得られないだけでなく、お金目当てに無理な注文を付けられる等、かなり勉強になっ たようだ。
●本人には、急いでやる必要はないので、ジックリを時間をかけ直して再出発するよう伝達。
チベット【南インド】
●セカヘイ・インド(チベット)ミッションは林さんに導いて頂いた。林さん!お疲れ様でした!(会 計報告は添付)
●さて、スリランカやバングラ同様に、50万円の原資でスタートを図ったムンゴッド定住地だったが、
仏陀バンク委員会を形成するに当たって、チベットの僧侶を委員に入れるのは反対(信用性が無い) との根強い声があり、現在のところ、保留中の状態。
【6月1日】
前日に合流したCS南インドのテンジン・ダムドゥル氏とセラ寺のトゥプテン・ソーパ師の案内でバンガロールから鉄道にてフブリ駅へ移動、そこから車でムンゴッドまで。深夜着。
【6月2日】
ムンゴッド居留地役場を訪問。BOB説明会のための打ち合わせ。居留地代表のパルデン・ドンドゥプ氏はマイクロクレジットのシステムや理念をよく理解しており、BOBを歓迎している様子。
夜はガンデン寺の問答場においてセカヘイの打ち合わせ。ところがガンデン寺の維那は非常に頭が固く、日本式の読経等は「時間の無駄」と言って取り付く島なし。交渉は決裂した。
【6月3日】
朝5:30よりガンデン寺チャンゼ学堂にてセカヘイ。居留地代表も同席。集会堂でキャンドルライティングを行うことができた。とはいえ、法要自体は四方僧伽の説明も日本式の読経もなく、単にCSが施主となり朝茶の供養をしただけの形。その後、チャンチュプ・チューリン尼僧院で同じく朝茶の供養。
午後より居留地役場に隣接したRTWAの会議室にてBOB説明会ならびに準備委員会。居留地代表はじめ各地区(9区域)の村長、RTYC、RTWAの支部長が集まった。寄付や支援に慣れている亡命チベット人のこと、無利子とはいえ融資であるBOBが受け入れられるかどうか不安ではあったが、ダムドゥル氏による説明と居留地代表の後押しで村長たちも少しは興味を示し、この場で運営委員の選定まで話が進んだ。他地域のBOBでは僧院に事務局を置き人件費を浮かせているが、ここムンゴッド(及びチベット人社会)では「僧院と俗人の距離が遠い」という理由でやんわり拒否され、運営委員の中に僧侶は一人も入らなかった。原資はひとまずムンゴッド在住で林の旧友である尼僧テンジン・リンチョク師に預けることとした。
【6月4日】
デプン寺を参拝。ロセリン学堂の絢爛豪華な新本堂に圧倒された。これら大寺院の有力な施主は台湾人とシンガポール人とのこと。人口の大部分が僧侶であるムンゴッド。ここでも僧院は富み俗人は貧しい。しかも僧院を経済的に支えるのは外国人頼りとなると、チベット人が将来的に自立する道筋が見えてこない。男性の多くが僧侶ゆえに人口が増えず、しかも俗人でいるよりは出家したほうが生活が安定するというジレンマ。何ともバランスの悪さを感じた。
【6月5日】
ムンゴッド養老院慰問。約130名の老人が入居している。ほとんどが単身者の個室と夫婦の2人部屋。ある程度の看護・介護設備はあるが、施設のスタッフはわずか数名。僧院には巨額の寄付が届くものの、こういった施設にはそれほど援助が行き渡っていないような印象を受けた。
【6月6日】
ムンゴッドを離れ帰国の途へ
BOBムンゴッドの問題点
※地理的な問題。商業・工業の中心地からは遠く、人口のほとんどが僧侶なので新たな商売を起こす需要が少ない。
※人材面。居留地代表や役人は教養がありマイクロクレジットのシステムや理念を理解しているが、一般住民からの理解を得るには時間をかけて後押しする必要があると思われる。また、現状では現地で中心となって活動する人材がいないこともマイナス点である。僧院に事務局を置かないため、現金管理にも不安がある。
※運営費用の面。「原資から経費を使わない」旨を伝えると、「会議費用や交通費はどうやって捻出するのか」という声が上がった。
所感
今回、ダムドゥル氏の尽力により、短期間ながら非常に円滑かつ効率よく日程を進めることができた。また、林が渡航したことによりチベット語で会議を行うことができ、地域住民と直接意思の疎通が図れたことは利点であった。しかしながら、ムンゴッドでBOBを本格始動させるためには、住民たちを指導し後押しする現地スタッフが必要であると思われる。(地理的な利点やCSとのつながりを考慮すれば、実はバイラクッペの方が実現性が高いのではないかと考えられる。)今後、現地からの連絡を待ちながら、ムンゴッドとのパイプを強化するのか、バイラクッペに移管するのか、柔軟な対応が必要であろう。