バンク・オブ・仏陀の道2012 Vol.11

『バルワのニューカマーとオールドカマー』

この日の夕方、約束をしていたある人物のところに寄った。場所はチッタゴン大学。学部長で僧侶のギャナラトナ教授の部屋である。

日本で教壇を取っていたこともあり日本語がベラベラ、さらに少し前まではタイのバンコクの大学で仏教学を教えていた。

ここバングラデシュでは、国を出てタイに暮らすことがステータスになっているらしく、タイが目標とする国らしい。

ほとんどの教育者がバングラデシュを出てタイで暮らすことを希望してるとか…。

 

ところがこのギャナラトナ教授は逆にタイからバングラデシュを改革するためにあえて戻って来たのだと言う。

チッタゴン大学に来てわずか三ヶ月で学部長に抜擢された彼は、腐りきった学部内の慣習を苦労に苦労を重ね改革した。

 チッタゴン大学部長ギャナラトナ教授

081チッタゴン大学部長ギャナラトナ教授

一緒にいたアッシシュ、少しは見習って欲しいものだ…。こいつはバングラデシュを出て日本に戻るか、他の国に行くことばかり考えてる。この男に取って、日本に戻ることだけが救いなのだ。なぜ我々の活動や日本との交流を積極的にしているか、その理由の一つは日本で再び暮らす事を模索してるふしがある。そのことが後から分かった。その内容は後日談で詳しく延べる。

我々が教授の部屋を訊ねた目的は人材探しである。彼はバルワ(ベンガル人仏徒)である。受けた印象は気さくで聡明、なんといっても日本語が出来るのは魅力だ。

地域通貨やマイクロファイナンスにも詳しい。この教授がブッダバンクをどう見るか。

とりあえず今回は時間が無く挨拶だけだったが、次につなげる機会にはなった…。関わってくれれば有能な知恵袋になるだろう。

教授の部屋で懇談するアウン、アシシュ、上川

082教授の部屋で懇談するアウン、アシシュ、上川

『アシシュの古里』

祈り

083祈り

この後、アッシュの担当するブッダバンク、チッタゴン近郊にあるルワパラ村(ベンガル人仏教徒)へと向かった。彼の父親の出身地でもあり、高名な僧侶が立ち上げた地元NGOオグシャル•コンプレックスの後を継いだベンスミッタナ僧侶により運用 されている。

ここには、小中学校の他バングラディシュで唯一のジュマ(エスニック)の女子校がある。校内には質素なドミトリーがあり生徒が暮らしている。数人で一つの部屋をシェアー、室内をのぞくと嫌な顔一つせず礼儀正しく挨拶する。その姿は純真無垢そのものだ…!

ちなみにこの団体、昨年実績が認められマザーテレサ賞を受賞している。

施設にある女子校寮

084施設にある女子校寮

先日までアシシュがバンコクにいたため、こことはぎりぎりまで連絡が取れず、今回の訪問は挨拶だけでもとの思いで向かった。そのため突然の訪問となり会計担当者がいなく具体的な事はわからなかった。

 

担当・アシシュ

出席・上川、伊勢、アウン、アシシュ、僧侶、メンバー10

原資95000

       人数     原資               布施

2010   11     95000

2011   12     95000               9100

2012   13     95000              19000 

 

毎月 20タカの会費

村を8ブロック分け、それぞれ担当がいる。1グループの中に、10人の受益者がいるので

現在は36人の受益者がいる

管理責任者に給料を払い、全てを管理させている。

2011年に、コミュニティ資金を投入  120000

受益者も増えているようだ

 

上川氏のレポートより

ここでのBOBは独自の方法を用いてるようだ。我々ブッダバンクの出資した金額に、自分たちの資金をさらに投資し大勢の人に貸し出している。おそらくBOBのシステムが効果的とふんだ彼らはビジネスとして展開してる感がある。

担当者はドクタービンという人物でその道のプロだ。ブッダバンクを初めてまだ3ヶ月目の時に会った事がある。利息も15%以上取っていたはずだ。

ビジネスかどうかの境目は微妙だ。外部からの投資を募れば、当然投資家に配当金を渡さなければならない。利息が上がるのは避けられないだろう。

通常銀行業務を行うにはライセンスが必要だ。NGOや任意団体の行なうマイクロファイナンスも、ライセンスを持つ各国の金融機関に委託して貸し付けを行う。

したがって資金を提供した投資家と現地の金融機関との両方に手数料を払わなければならない。

なのでマイクロファイナンスといえども、ある程度の利息を取らないとやっていけないのだ。

あたりまえといえばあたりまえのことだ…。

ところがなぜブッダバンクが無利子でマイクロファイナンスが出来るか!?

ここが凄い感動の構造。

第一に、資金を投資する側が、まったく利益を求めていない。

第二に、自分たちで金融のライセンスを所得し、自分たちの手で直接おこなう事を前提としている。まだプロセスの段階だがリスクを恐れず実行に移してる。

第三に仏教の僧侶が中心となり奉仕または求道の精神でやっている。資金の元を返済する責任のない個人資産や寄付でまかななっている。

…もともとの関わる側の気合いが違うのだ。命かけてる…

更に受益者は仏教徒がほとんどである。融資は原則としてお寺を通し僧侶から手渡す。その際必ず他の受益者及び関係者全員の見ている前で貸し出す。それが縛りにもなる。

仏教徒の受益者はかたちのうえで仏様から借りた事になる。なもんでそりゃ~返さないと罰が当たるっちゅうもんぜよ!

それに仏さんに助けられたんだから感謝のしるしに布施すんのが当たり前と言えば当たり前…。

しか~し布施なんだから金額は本人が自分で決めればいい。儲かった人は当然たくさん、儲かんなかった人ほとんど無くてもいい。

であるからしてこれは利子ではない…感謝の現れすなわち善意なのだ。

そしてその善意が集まり新たな受益者が生まれる。

…村の生活が向上し豊かになる時、それは受益者の善意がもたらした功徳なのである…

(基本宗派は問わない、現にイスラムやヒンズー教徒もいる)

話をアシシュの村の戻そう。

状況を全く把握していないアシシュに上川氏が訊ねる。「前に来たのはいつですか?」「…」「たまに連絡を取り合ってますか?」…「いえその~あの~」もじもじ…

上川氏が言う「忙しいんでしょう」「関わる時間がないんでしょ?」

「お店があるので…家族があるので」と…相変わらず言い訳する彼に、上川氏「それって言い訳でしょう」「…」「言い訳は聞きたくない」

今回あなたは大きなミスを犯しました。バンコクの件であなたはすっかり信用なくしました。と…それでも言い訳をやめないアシシュに向かってに、「言い訳は聞きたく無い」と繰り返す上川氏。

さすが4人の娘の父親である子供の扱いはお手のものだ。

だんだん凹んできたアシッシュ

更に追い込む「無理なら離れてもらってもいんですよ」…

「あなたが出来ないのであれば、こちらの担当者と直接連絡を取って進めるしかないですね…それでもてもいですか?」

アシッシュが答える「はい、いいです。」

アシッシュはおどおどしながら施設の代表ベン•スミナッダ僧侶にその内容を通訳して伝える。

それについて僧侶が答える。アシシュのおかげでここにBOBが開設された。私からもこれから積極的に関わってもらうよう働きかけます。月に一度は会うようにするので、外さないで欲しいと僧侶。アシシュはそのことを日本語に直し上川氏に伝る。

アシシュ「あの~こうやって言ってますが…」「こうやって言ってますがじゃないでしょ!これはあなたの問題でしょ?何言ってるんですか~あなたがどうするか決めなさい。」あきれた顔で上川氏

「は、はいそうですね…。」とアシシュ「どうしますか、やりますか?やめますか?」と上川氏が細い眼で威嚇する。

アシシュまるで借りて来た猫のように「はい。やります」

「反省して下さい!」「はい、反省します。」「これが最後のチャンスですよ、しっかりやって下さい。」「はいがんばります」…

冷たくつきはなされるアシシュを、俺は内心にやにやしながら見ていた。

最後に上川氏はベン・スミナッタ僧侶向かって伝えた。「皆さんでどうか支えてあげて下さい」と

…慈悲だな~

記念写真

085記念写真

Vol12『ミッションコンプリート』

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