バングラ視察2013 Vol.5

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夕方からチッタゴンに向かった。その途中の街でナランギリボリバラ村の代表と合流した。先の訪問で提案した、CSショップ構想の協議に結論が出たのだ。

 村人とスノモジュテ僧侶は街のメインロードに良い物件を見つけたようだ。ナランギリボリバラ村から約8キロ、村人の足で1時間半ほどのラジャストリストリートに8坪程と比較的広い。3年契約で使用料270,000タカ。月にすると9000タカと破格である。

立ち上げに必要な総予算は10万タカ。厳しいがこれで一件の店が出来、村人の苦しい生活が改善されるならと了解した。約束してたのであとには引けない。

 ※この場面お金を数えるのに手間取り、手渡す場面の写真を取り損ねてしまった。

その足で、ランガマテからチッタゴン方面に一時間走り、ワジャハト市と言う街の近郊にあるお寺に立ち寄った。そこは1990年から1991年までアウンが暮らし修行した寺である。

 アウン曰く、住職でバルワ族のシャモンガルテル僧侶は、この地域で最も信頼の厚い素晴らしい人物で、地域によく知られる僧だという。立ち寄った理由は、戦略的にもこれぞというバルワの僧侶をCSメンバーとして迎え、他のバルワとの影響力を中和させるだけじゃなく、より広くBOBを包括的に進めるためである。

1)住職でバルワ族のシャモンガルテル僧侶

162住職でバルワ族のシャモンガルテル僧侶

2)寺で暮らす孤児の子ども達

163寺で暮らす孤児の子ども達

 道路工事のせいで2時間も到着がおくれた。が、チッタゴンに住むCSメンバーの、アシシュとウノポンがホテルで待っていた。夕食の席でラム地区の話に触れた時、アシシュの口から、「彼等は(CSジュマメンバー)は、なにもしてないはずです」と言う。

お金は被害を受けた寺や被災者には使われてないというのだ、、。

 僕はそれに対し「ちゃんと使われてましたよ。矢野さのレポート通り執行された事を、全ての寺を回り当事者に確認してきましたから」更に二箇所でBOBがすでに始まっていることを伝えると、ポカンとした顔。

 ほかにもアラカン族の地域でBOBをスタートしている事を言うと、「誰がいつ始めたんだ」とウノポンとアッシシュは不審げに言う。僕は昨年矢野さんが現地を訪問したときに始めた事を伝えると、罰悪そうな対応、、。情報のシェアが、全くされていないことが露呈された。自業自得としか言いようがない。

 明日はアシシュの提案で、予定していたバルワのBOBサイト全3箇所を一気に回る予定だった。が、変更をよぎなくする出来事がおきていた。あのラム地区で起きた寺の破壊放火と同じ事が、4日前また起きたのだ!今度は場所を変えチッタゴンから20キロの場所だ。各地のバルワの僧侶及び関係者は、明日現場に向かうのだという。そこで僕も同行を願い出た。

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 翌日現場に向かった。僕はてっきり、アシシュたちの訪問に便乗するものだと思っていたが、蓋を開けてみると、場所もよく知らず、道を聞きながらの移動、さらに交通費、食事、寄付も含め結局全て僕が払った。

アシシュは、伊勢さんのおかげで来る事が出来ました。 って最初からそのつもりだったのである。相変わらずだ、、。

 移動中アシシュ及びウノポンに今年のセカヘイのプレゼンターとしてウノポンにCSジャパンより招待が決まっている事を伝えた。彼は快く受け入れカンボジアのプロジェクトにも参加したいと積極的だ。

英語が苦手なことや、過去に経験のない国際イベントなだけに戸惑いもあるが、これは彼にとってかけがえのない経験でありチャンスである。それらのノウハウ、プレゼンやレポートの制作などアシシュにサポートを依頼した。

 なぜ彼を推薦したか、それは根の深い両者(バルワとジュマ)の不信を中和するキーパーソンになり得ることを期待しているからである。

 ビブロップ曰く、アシシュ及びシャンガピオ僧は、コラプテド(腐敗)ウノポンはグットボーイと語る。その点の僕のコメントは差し控えるが、ウノポングットボーイと言うのはうなずける。

従って経験も実績もなく英語も出来ない彼は、セカヘイに参加することで必ずベンガル語の出来るビブロップのサポートを必要とする。今の段階では完全にバルワ組に洗脳されてるウノポンなだけに、その場を借り、真摯に語り誤解を解き和解する為のセッティングなのである。

 話を現場視察にもどします。

チッタゴンから約20キロ。途中至る所で反政府グループの過激な集会が開かれておりマイクで耳を塞ぎたくなるような怒鳴り声、叫び、殺伐とした街並み、ウンザリを通り越して、ぞっとする。

3)過激な政治運動

164過激な政治運動

4)過激な政治運動2

165過激な政治運動2

5)ホルタル(ストライキ)

166ホルタル(ストライキ)

被害を受けた寺院、一カ所目は、ロジョストプラ地区のロジョストプラポットビア寺院。仏像が焼かれ、コンクリートが砕かれ、はめ込まれていた浄財の入った金庫が盗まれていた。

6)焼かれた仏像

167焼かれた仏像

7)金庫ごと盗まれた浄財

168金庫ごと盗まれた浄財

2カ所目は、そこからさらに20キロほどの、モクナイト村のダツチョットビハルハール寺院に行った。1930年から地域に根付き、ブッダの骨が祀ってあると言う由緒ある寺だ。だからこそ狙われたのか、、。

 8)チョットビルハール寺院入り口

169チョットビルハール寺院入り口

孤児院も30年以上の歴史がある。がその間こんなことはかつて一度もなかったと住職はいう。

この施設にも孤児院を含め幾つかの施設がある。暴徒は住職の部屋に火を放った後、集まる住人に破壊をさまたげられずに、さらにすぐ逃げれるよう、施設の入口に近い孤児院の宿宿泊施設に火を放ち全焼させた。火薬が使われたようだ。後ろで大きな組織が扇動しているようだ。

 9)燃やされた孤児院の宿泊施設

170燃やされた孤児院の宿泊施設

10)孤児院の宿泊施設と僧侶

171孤児院の宿泊施設と僧侶

11)住職

172住職

12)集められた備品

173集められた備品

13)住職の寝室

174住職の寝室

昨年のラム事件のあと、暴徒は比較的広い所で、まだ警備の甘い他の地域を狙って、今回ですでに3回起きている。アシシュ曰く政府や警察が加害者に対し厳しい罰を与えないからまた起きるのだと語る。

 ほんの5日前である。今は、住職も関係者も動転しており、救済を願うのに必死だ。1番心配なのは安全対策で、その対策にみな神経質になっている。一日も早く塀を築かなければという。

 被害の大きかったラム地区と同じよう一月もすれば多額の支援が集まる可能性もある。僕が見たラム地区の復興の様子を伝えると皆驚いており、少し安心したようだった。意外にもラム地区復興の状況は、ここの住民には伝わってないようだ。

 CSとして5000タカ(6000円)の寄付をおこなった。もっとしたかったのだが、手持ちの現地通過がそれだけしかなかったのである。今後の助けも期待され、やれるだけのことはやって見ますと答え、期待はできないが、一応アシシュに再度の訪問と寄付の使い道などの報告を依頼した。

 14)視察するアシシュ(右から2番目)

175視察するアシシュ(右から2番目)

15)視察するウノポン

176視察するウノポン

16)地域の住民と

177地域の住民と

17)孤児院の子ども達

178孤児院の子ども達

夕方、自称CSバングラのチェアマン、シャンガピオ僧侶の寺に立ち寄る。実際は連れていかれたという感じだが、、。

18)ポテヤにあるまだ完成しないシャンガプリアの大寺院

179ポテヤにあるまだ完成しないシャンガプリアの大寺院

※引き続き建設寄付受付中

 着いて冒頭にまず聞かれたのは、今回の僕の訪問でバルワのBOBサイトでの追加支援があるのか?という質問に僕は間髪いれず、無い!と答えた。一瞬その場は沈黙した。その後は案の定、頭の痛くなる話題と要求が待っていた。

 バングラデシュで行われる、すべてのプロジェクトは、CS代表のシャンガピオに報告義務があること。なぜなら政府が監査が入った時、説明義務があるからというのが表向きの理由。すべて人任せでCSの為に何かしてるわけでも何でもない。しかし権利だけは要求する。

 便宜上誰かを代表にしなければいけないので、ヘソを曲げないようにシャンガピオ僧にしただけと僕は認識している。だが困った事に、そのせいで彼の元にCSバングラデシュがあると勘違いしている。利権と影響力を持ちたいという狙いがあるように僕は見ている。

 その場にいたCSバングラデシュの法登録の役員の一人、オビジリさんは、昨年上川さんと訪問した時、会議の席で自分の村でもBOBを始めたいとリクエストがあった。その際、次の機会にやりましょうと僕は答えた。

 この場でその話になり、何で今回考えてくれなかったのかと迫られた。僕は事前に具体的なオファーがあれば検討してますが、今言われても、、それにまずは、訪問してみないと、、と答えた。

 結局この場で、次回は必ずオビジリの村を訪問しBOBを始める約束をするしかなかった。全くCSには、そんな予算は無い!そんなに困ってる人がいて、助けたいのなら、自分達で資金を集めて始めるとか考えないのだろうか!CSは金を運んでくるコウノトリじゃないいんだ(怒)

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 アシシュがBOBを担当する、ルワラバラ村を訪問した。バングラデシュで一位ニ位を争う広さと人の暮らす仏教徒コミュニティだ。オグシャルコンプレックスという寺院や学校を含めた複合施設がBOBの運営をしている。

 僧侶、役員 、アシシュ、ウノポンらが参加しミーティング

19)ミーティング風景

180ミーティング風景

現在は36人の受益者がいる。管理責任者に給料を払い、全てを管理させている。

 2011年に、95000タカでスタート、さらにコミュニティ資金を投入 120000タカ トータルで 215000タカ 原資。2012年 プラスになり218600タカに、2013年 現在で 229200タカと伸びは僅かである。

返済方法は11回の均等払い、10回で原資11回目がドネーションである。ここのやり方は会員制をとっており、10タカ払ってメンバーになり、申し込みの権利を得る。80人程おり、受益者となったのは現在までには37人。

 昨年の36人から一人増え現在37人。うち10人が、二度借りしている。現在37000タカのストックがあるが、どのぐらいのスパンか聞くと、9ヶ月分の返済。ということは返済のとどこうってる受益者が、かなりいるということになる。

専門のオフィスに事務員を雇っていて月4000タカを払っている。その経費は雑費も含め受益者の返金からまかなっている。この状態では伸びが見込めないことを指摘。

 それに対し役員の一人で施設内にあるカレッジの校長が返答。

貧しい人達、家畜が死んだりサイクロンや洪水などなど、受益者の暮らしはリスクが高く、返金がとどこうる事は、ある程度しかたがないという。ブッタバンクを始める時、返済が出来なくてもプレッシャーはかけなくていい。と、当時僕は言ったらしい、、。

 村は400世帯もあり、金額が少ないので多勢の申し込みに対応できない事に問題があるという。受益者を選ぶ事がとても難しく、少人数にしか貸せないことは借りれなかった人の不満を呼び、非難の元になると、、。貸し出しに少し相手を選ぶ事を進言してみた。が、貧しい人を助けたいしBOBはそのためにあるはずで、困ってる人に返せとは言えない、と反発された。

 それに対し僕は、失敗して何も残らないのでは、やる意味がないのでケースバイケースで工夫して欲しいと伝え、他の地域での成功例を紹介した。

それらの成功例や他の地域での独自のやり方は、説得力があり、聴き入ってくれてる感触を得たのだが、バルワの村は、ジュマの村と違ってどこも物価が高く、環境も違うとか、イスラム教徒が多いから女性は働けないとか、言い訳が多い。

 こんな金額じゃ何もできないと言う、、。もう4回目の訪問だが、毎度支援金の増大を求められ、次は手ぶらでの訪問は厳しそうだ。

 試しに幾らぐらいあれば、機能的にBOBを進められるか聞いてみるた。少なくとも100万タカとという答えが帰ってきた。約10倍!

 グラミン銀行など従来のマイクロクレジットは多額の投資提供を受け大勢に貸し出しを行っているが、投資する側と銀行業務のライセンスを所有する現地業者に利益をもたらすため、必然的に高い利息になる。

その点のブッダバンクは、額は少ないが、原資のすべてが投資ではなく、寄付である。従って返済義務がないため無利子銀行という形を取ることが出来、ライセンスにもさほど問題ない。だからこそ負担が少なく持続可能で堅実に運営できるのである。と、校長に力説した。

 最後には校長もそれは素晴らしいアイデアと、理解を示した。

20)受益者の女性達

181受益者の女性達

21)記念撮影

182記念撮影

次に昨年の6月にBOBを始めたばかりのウノポンが担当するポットバラ村を訪問。インドのバナラシから枝分けされた世界に2つ(一つはスリランカ)しかない菩提樹が祀られた古くからある由緒ある寺。

昨年上川さんと共に訪れ面会し、BOBに理解を示してくれた住職は5日前、4月22日に心臓病で他界した。この日僕らが着いたのは、ちょうど葬儀がおこなわれ、住人が解散した後であった。ちなみに次の住職は決まってない。

22)終了した葬儀

183終了した葬儀

ポットバラ村は、バルワ族4500人の仏教徒の農村。周りにイスラム教徒多数に囲まれ、個人所有の土地も少なく、技術もないため、家畜(牛、山羊、鶏、魚)がほとんどだ。

 原資80000タカ、16人の受益者で始められ、現在10ヶ月目で34人が受益者となった。返済の遅れてる人は二人ほどである。

 11回払いで、原資10回に一回分のコミションは、ルワラバラ村と同じ返済方法である。月1000タカを事務経費として担当者に渡している。担当のビマンチョさんは街で働いているが、2ヶ月に一度来て事務をすべてやっている。真面目そうな人で、BOBの成功に取り組んでくれていると言う印象を受けた。

 ほとんどの受益者が家畜の飼育である。そもそも家畜は、短期間で利益も大きいが、病気や盗難、野犬の被害などとリスクが高く安定しない。受益者の女性数人に聞き取り調査をお願いした。

 一人は、5000タカでヤギを買い3ヶ月後に7000で売った。現在他に二匹所有する2人目は ニワトリを買ったが、半分近くが野犬に襲われ死んだ。3人目は、バイクのタイヤを買ったが、過激なストライキの暴徒に壊された。

23)ミーティング風景

184ミーティング風景

24)菩提樹とポットバラ村の受益者

185菩提樹とポットバラ村の受益者

25)BOBで購入した家畜のヤギと受益者の女性

186BOBで購入した家畜のヤギと受益者の女性

26)BOBで購入したニワトリ

187BOBで購入したニワトリ

リスクの伴う仕事は利幅はあるが、安定しないこと。ストライキなどはまた起ったら同じ被害に合うこと。目先のことにとらわれず堅実で持続可能な仕事にシフトして行くことを考えるべき。さらに丘陵地帯(少数民族)の例など出して参考にして欲しいと伝えた。

物価が違う、イスラム教徒の地域だから女性は仕事が無い、とここでも言い訳が多い。ちなみにある農業希望者の女性に幾ら必要か聞いてみると、彼女は10万タカと答えた。内訳は農地を耕す機械の購入、種、肥料その他。

 それに対し僕はこう答えた。

 そういう全てを他に当てにするようなプランはBOBの対象外です。少なくてもある程度必要な準備と努力をした上で、計画性がありBOBを活用するようでなければ成功しないでしょう。融資が少ないといいますが、仮に10万と言う大金を借りて、失敗した場合、それを取りもどすのに今以上に大変になり苦しむことになります。ブッダバンクは、助けるために存在し苦しめるためではないのです。またそれが少額融資の優れたところなのです。

 追加支援が無いのはモニタリングの途中で、まだ一年に満たないことなどを理由としたが、そう言う期待を持たないようにしていくのが今後の課題である。

 27経理担当のビマンチョンさん(左から2人目)

188経理担当のビマンチョンさん(左から2人目)

アシシュは、村出身のウノポンが2013年のタイで行われるセカヘイに招待されることを、この場で受益者に伝えると賞賛の拍手が起こり。ウノポンも得意げにうれしそうでなによりだ。

28)ボットバラの風景

189ボットバラの風景

29)ボットバラの風景2

 190ボットバラの風景2

閉会の前に、亡くなった僧侶に全員で祈りを捧げ、僕は最後にこう結んだ。「BOBをこの村で始める事が出来たのは、ひとえに住職の理解があったおかげです。彼の残した大切な財産として、みなさんで守り継続してください」と伝えた。

皆真摯に受けとってくれているようだった。

30)破壊を免れたロジョストプラポットビア寺院の寝仏

191破壊を免れたロジョストプラポットビア寺院の寝仏

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