バングラ視察2013 Vol.6

Vol.6 アラカン革命軍の村

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再びコックスバザールに移動しス・ランと合流する。

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コックスバザールから西に2時間、亡命したアラカン革命軍の元兵士と家族らが暮らす、ナチャオソリタナ県のドショパラ村に行く。そこは以前から暮らす、幾つかのまとまったアラカン族の集落があり、その中に散らばるように、ビルマのアラカン州から移り住んだ20家族ほどの難民達が暮らしている。

メンバーのひとりの小さな家に15人程で集会をおこなった。これまで参加したどの集会よりも狭い室内だった。彼らのこの村で置かれている立場を象徴しているようだ。リーダーで元将軍のモンソウインさんは、こちらに来て25年、70年代に家族全員を殺され、彼も脚を銃でを打たれ自由には歩けない。

たった一人残されこの村に逃げてきた。話によると、娘さん妻兄妹全員が暴行され拷問を受け、そして殺されている。それも見せしめのため住民全員の見てる前でだそうだ。他に左手を打たれ自由のきかなくなった元軍曹、その場にいた中年女性3人は、旦那さんを戦争で失ったり、刑務所で亡くした未亡人である。

20年以上の亡命生活を強いられて居る人も多くおり、以前から暮らすアラカン人の土地で、形見の狭い思いで暮しているという。難民認定を受けている者は僅かで、当然国籍も無くほとんどの公的サポートはない。国籍を持っているのは95年以降にこの土地で生まれた者だけである。

機会を待ってビルマに帰還する事が、唯一彼ら彼女らの生き甲斐なのだ。しかしもうみんな年を取っていて、疲れた印象を受ける。

1)アラカン族のドショパパラ村

192アラカン族のドショパパラ村

2)アラカン難民コミュニティーとBOBミーティング

193アラカン難民コミュニティーとBOBミーティング

3)アラカン難民コミュニティーとBOBミーティング2

194アラカン難民コミュニティーとBOBミーティング2

4)リーダーで元将軍のモンソウインさん

195リーダーで元将軍のモンソウインさん

昨年矢野さんが始めてこの土地を訪れており、すでにBOBのことは伝わっている。矢野さんの言葉を思い出した。「柵のない難民キャンプ、見方を変えると最も無防備な難民」

実際、暮らしは以前から暮らすアラカンの人たちのに比べ、厳しい生活を強いられているのが見て取れた。ス・ランが言うには、「彼らは何もない、BOBだけが今は救いなのだ」と、、。リーダーで元将軍のモウソンインさんは信頼も篤く、少人数なだけに結束も固い。

初めはこの難民コミュニティの中でBOBを始めるが、のちに村全体に浸透させたいと言う。

長い共存生活で、協力関係こそが生き延びる道である事をよく知っているようだ。こういう所こそ最もBOBを必要としている。またこんな所のためにBOBは存在するのではないだろうか。予算が残り少ないため少額だが、3万タカ(36000円)でBOBをスタートする事を決定した。

5)厳しい暮らし

196厳しい暮らし

6)アラカン族のドショパラ村にて

197アラカン族のドショパラ村にて

7)アラカン族のドショパラ村にて2

198アラカン族のドショパラ村にて2

8)記念撮影

199記念撮影

ところがである。残金を調べると残りのプロジェクト費は底をついていた。もう多少の必要経費しか残ってない。普段持たない大金を持つから感覚がずれたようだ。

あつい握手を交わし、潤んだ目で見つめ合い、「ぜひ始めましょうBOBを成功させましょう」と言った以上、今更できませんなんて言えない。将軍の威厳ある姿が浮かぶ、そして家族を全員殺された深く悲しい目、、。失望させるわけにはいかない。

その事を知ったス・ランもさすがに失望の色を隠せない。その夜、チッタゴンで、アウンと会い事情を伝えた。すると彼は快く資金を貸してくれ、翌日無事BOBの原資となる、3万タカを渡すことができた。今回の渡航で、最後のBOB立ち上げが出来た。

9)BOBの原資を受け取るス・ラン

200BOBの原資を受け取るス・ラン

10)ドショパラ村の子ども達

201ドショパラ村の子ども達

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バルワ族のシャモンガルテル僧と共にグラ二ア県を視察した。先日お会いしたアウンが若い時修行した寺院の住職である。チッタゴンからランガマテ方面に1時間、ラグニア県には57の村と75の寺がありバルワ系住民が多く暮らす。

ラグニア県は東のランガマテ州に繋がり、もともとベンガル人が入植してくる以前は、現在のランガマテ州と同じようにチャクマ族が暮らしていた。シュモンガル僧の案内で、たった一つ残ったチャクマの王様のパレスを訪れた。先祖の一家族が守っていて、その横に王が建てた古い大きな寺がある。アウンも初めて来たらしく今日はラッキーだと感動している。

石造りの朽ち果てた王宮は、現存するタイやカンボジアの王宮を思わせる、文化と歴史を物語る極めて貴重な遺産建築物である事は間違いない。多くの王宮は、人口ダム、カピタイ湖の下に沈んでいるだけに、たった一つ残ったチャクマの宝だ。しかし腐食がひどい。崩れた壁、穴が空いて崩れ落ちた天井。バングラデシュ政府は勿論、誰も修復や保存に取り組んでいないことを物語っている。

この土地に暮らしてるのがチャクマ人ではなく、ベンガル人だからなのだろうが、貴重な文化や遺産への意識が薄いことは、悲しい事である。

11)たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮

202たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮

12)たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮2

203たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮2

13)たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮3

204たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮3

14)たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮4

205たったひとつ残った崩壊寸前のチャクマの王宮4

15)王宮の横に建つ王の建てた寺院

206王宮の横に建つ王の建てた寺院

16)王宮の横に建つ王の建てた寺院2

207王宮の横に建つ王の建てた寺院2

17)寺院の住職と(右)シュモンガル僧(左)

208寺院の住職と(右)シュモンガル僧(左)

ここラグニア地方で、次回のBOB候補として3つほどの村を回った。シアルブッツ村45世帯は、絵に描いたような、のどかなバングラデシュの農村という感じだ。

18)村に向かう途中の風景

209村に向かう途中の風景

19)村に向かう途中の風景2

210村に向かう途中の風景2

20)ラグニア地方シアルブッツ村にて

211ラグニア地方シアルブッツ村にて

21)ラグニア地方シアルブッツ村2

212ラグニア地方シアルブッツ村にて2

22)ラグニア地方シアルブッツ村3

213ラグニア地方シアルブッツ村にて

もうひとつのディアンバサール村は、大家族制で一家に4~7の親族が暮らす。数は47件だが、その5倍ほどの家族がいる。それぞれ村によって形態が違うのに驚く。ほかにヒンズー教徒の村も近くにあるようだ。

23)ディアンバサール村にて

214ディアンバサール村にて

24)ディアンバサール村にて2

215ディアンバサール村にて2

25)ディアンバサール村にて3

216ディアンバサール村にて3

26)ディアンバサール村にて4

217ディアンバサール村にて4

昨年のラム寺崩壊事件はこの地域の仏教徒にも衝撃を与えたと聞く。国全体の仏教徒が怯えているという、、。バルワ族(ベンガル系仏教徒)のシャモンガルテル僧はこのグラニア地方で最も信頼の厚い僧侶で、住民から尊敬されていると聞く。静かな物腰に威厳漂わす姿は、その信憑性を語っている。

彼の元で仕える若いダンマピロ僧が一緒に同行した。彼は、昨年日本に3ヶ月ほど滞在し、片言だが日本語が出来る。勿論英語力も抜群で、高い能力を感じさせる。アウンと僕は速攻BOBの担当管理を依頼しCSとも関わってもらうことを提案。快く引き受けてくれた。

これでまた新たなCSメンバーの誕生である。

27)ダンマピロ僧(右)とシアルブッツ村の人々

218ダンマピロ僧(右)とシアルブッツ村の人々

28)ダンマピロ僧(左)とシャモンガルテル僧(右)

219ダンマピロ僧(左)とシャモンガルテル僧(右)

29)グッバイ

220グッバイ

5/1 最終日

アシシュの家でウノポンも入れ懇談。二人の僧侶が法要で来ていた。アシシュは、BOBを語り、この僧侶にも熱心に進めていた。僕に向かってアシシュは、「ぜひ彼らの村を訪ねて、BOBをはじめて下さい」と言う。そこで僕はこの場を借りて、彼に溜まっていた思いを伝えた。

BOBは日本からお金が来て始めるのではない。それを待っていたらいつまで立っても拡がらない。自分達で友人や様々な機関に働きかけ、資金を作る事を考えてくださいと。それに対しアシシュは、CSのみんなが参加し、世のためになる事業を行い、そこで上がった利益をBOBに使いたいと思ってると答えた。具体的に何をやるかは別として、誰がやるのかという問いに、人を雇って働かすという。

何を始めるにしても、準備にかかる費用及び運転資金を考えると利益が出るまで最低半年や一年はかかる。それにそんな資金はどこから出るんだ?と問うと黙ってしまう。やはり口先だけで何も具体的に考えていない。リスクを抱える気も無い。

こんな経営者が、事業を行ってうまく行くはずもなく、まして共同で!なんて責任のなすりあいになる事は大地を的とするほど確かだろう。こういう傾向は、残念だがビジネスをやってるウノポンやオビジリ教授などバルワ全体にある。CSの法登録について、バルワ側が不満を漏らす理由は、ビジネスと全く結び付かないからである、とアウンが指摘する。

CSの活動許可は、法律的には、チッタゴン地区のみの慈善事業しか許されて無い。いかなる活動をするにしても、まずはこの資格を取らないと何も前には進まないらしいのだが、この資格はあらゆる慈善事業が可能なのだそうだ。BOBは完全寄付のようなものだから、法にはさほど問題は無いが、利益を少しでも追求すると違法になる。利益を兼ねたものとなると、また別の法登録と資格が必要なのだそうだ。

従ってアシシュの担当する地域でのBOBは別途の資金を投入して事務所を借り専門の担当者を雇っているので、ビジネスと見られる危険性を秘めている。あくまでも僕の所感だが、アシシュ及びシャンガプリア僧は、そのことを考慮し営利と結びつくビジネスを視野にいれているため、認可、許可証の取得にこうも執着しているのではないかと推測する。

法登録とその件に少し触れておきます。

アシシュたちバルワの人間が不信感を抱き、アウン達を非難するいちばんの原因は、初めに井本さんが、アウンに送った法登録の経費の使い道にある。シャンガピオ僧侶及びアシシュの言い分はこうだ。

1.今ある資格は当初予定していた、ナショナルNGOでもなければローカルNGO でさえない。ただのいち組織登録でしかない。

2.それも丘陵地帯での活動は許されずチッタゴン地区のみの資格である。こんな資格は200ドルもあれば取れる。何ならそこに連れて行って証拠を見せると言う。残りのお金はどうしたんだ、ということである。アウンが勝手に使ったと疑っているようだ

3.シャンガピオ僧こそがCSバングラデシュの代表で、法登録の名義人である以上、全てのCSの活動に責任がある。従ってCSが、何所でどんな活動をするかシャンガピオ僧に報告義務がある。そうしないと政府から調査が入った時、代表として責任のあるシャンガピオ僧がトラブルに合う。

 シャンガピオの建設中の大寺院で、僕はCSバルワの役員、アシシュ、シャンガピオ、ウノポン、オビジリ全員に囲まれ、あれやこれやと、さんざんこの件を突っ込まれ、アウン他ジュマの非難を聞かされ、正直に言って動揺した。ここに仲違いの原因があり、僕も真相を知りたいと感じた。この件をクリアーにしない限り両者の和解は無いと。

 とりあえず、事を究明する為にもCSのミーティングを提案しますと答える。重い不安がよぎったが、冷静になって考えると、今までの経緯で、真相はアウンに問いただせばクリアーになるだろうとも感じた。その日の夜電話でアウンにこのことを伝え、CSのミーティングを提案した。

ところが、一切アシシュ及びシャンガピオ僧と関わらないと決めているアウンは、断固ミーティングの参加を断わると言う。翌日直接アウンとこの件について話した。彼の主張を何点かに分けて説明する。

1.井本から送金されたお金は、法登録のためだけの資金で、他の目的には一切使えない。従って最終的に残ったお金は返金しなければならない。

2.営利目的の資格及びそれらを目的とした法登録には使わない。

3.井本からから送金されたお金から使った必要経費は現在まで約9万円ほど。内訳は正式な登録費用に100ドルほど、他は主に各政府機関の手数料である。手数料というのは、賄賂の事だ。この国では他途上国の政府機関と同じように、円滑に進めるための常投手段である。これらは、アウンが作成した法登録の見積もりに詳細に明記されており、それを了承した上で井本さんはアウンに送金している。

4.これらの全ての手続きでにおいて、アウンは何度もアシシュ及びシャンガピオ僧に連絡して手続きの際の立ち合いを求め、証人になるよう依頼している。常に公平を口にするアシシュ達だからこそ、その点は周到に気を使ったと語る。しかしその度に、忙しいから任せる。そっちで勝手にやってくれ。といつも同じ返答が帰ってきたと言う。そして後になり何も報告されてなければ、説明もないと言われ、勝手にやったと非難されるという。

5.現在残金はそっくりアウンの口座に保管してある。時期を待っていると言う。

チッタゴン地域だけの認可しかあえて取らなかったのは、この資格はシャンガピオの暮らす地域では有効であり、彼を代表とすることで、彼らの要求はとりあえず答えたことになる。

もし丘陵地帯(アウンやビブロップの活動地域)での認可をとってしまえば、その権利を独占、及び権利書の要求をしてくることになる。そうなれば彼らのCSでの影響力は大きくなり、丘陵地帯での活動は制限されるだろう。さらに残りの資金を渡せば営利目的の認可に使われることになる。などの理由だ。

 シャンガピオ達が主張する、政府への活動の報告義務、また監査によるトラブルの心配など、全くない。とアウンは言う。両者の見解は、大きく異なる。

僕は立場上客観的に見なければいけないのだが、これまでの経緯や行動を見るうえで、どちらに信憑性があるかは言うまでもない。

渡航のたびに、全ての手配をし、訪問するCS日本メンバーに、きめ細かいサポートと忙しい時間を裂いて、CSのプロジェクトに献身的に協力し、実行してきたのは、アウンやビブロップなど、丘陵地滞の人達であるからだ。

来年100人規模の僧侶及と新旧のバルワ及びジュマのメンバーを一同に集めバングラデシュのCSミーティングを開催すると言う。

そこでチッタゴン丘陵地滞ほか、バルワの新メンバーさらにコックスバザール県のラム地区やアラカンのメンバーを含め、新たなCSの法登録に動き出すとアウンは言う。この流れはもう止められない、そして止める必要もない。

幾度となく協力調和の努力をしたバングシャ僧は、仲を取り持つことを諦め、温厚なアウンでさえ堪忍袋の尾を切り、伊勢も馬鹿呼ばわりされても我慢した、、。

今後も当然CSのポリシーとしてバルワを含めたBOBの活動、ソリダリティー(団結)を重視して行くこというまでもないです。アシシュ、シャンガピオ両名に対しても、こちらから切り離すような行動を起こす必要もないでしょう。彼らは彼なりにBOBを運営してくれればそれでいいと思います。

今までどうりセカヘイの参加案内や、レポートの提出なども受け入れ、窓口は開いておきます。そのうえで彼等がもしこれまでのことに反省の意思を見せ、自主的にCSの活動に関わり、作為無く行動を起こすならば、サポートすることは可能と思います。

 30)祈り

 221祈り

あとがき

今回の渡航は、やれるだけのことは全てやろうという思いで取り組ませてもらいました。そういう意味では満足してます。しかし滞在すればするほどやるべきことが山積して行くものです。地域を尋ねれば尋ねるほどBOBを必要としている所が増え、またBOBを初めさせてあげたいと言う思いにかられます。

バングラデシュのBOBは確実に広がってます。小さなタネがいま目を出し育ち始めています。いつか深く根を張り揺るぎない地域の宝となり人々の幸福の幹となる事を願ってやみません。

 31)菩提樹

222菩提樹

32無題

 223無題

2013年バングラデシュミッション コンプリート

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