バンク・オブ・仏陀の道2012 Vol.9

「CSセンターと銀行登録」

 

朝早くチッタゴンに向かう。CSバングラディシュ法登録の役員全員がそろい今後の展望や視察して決定したことなどを伝えるのである。今までの経緯からミーティングは荒れるだろうと想定する。特に金が絡むとそうなる。対策は練って来たが、どうやって反抗分子を説得するかがず~と悩みの種だった。そのためこの日は朝から緊張感でいっぱいだった。

キャン族のハーレクイさんが僕達の泊まってるホテルやって来た。始めは挨拶に来たのだろうと気に留めなかったが、帰るそぶりを見せないので不思議に思い聞いてみる。するとうれしいことに一緒にCSミーティングに参加するという!仕事を後回しにして参加することを決意してくれたのである。

昨夜のこわばった顔が穏やかな表情に変わっており、そして目の奥からは強い決意が感じられた。

 

バンダルバン市を抜ける手前の道沿いにあるCSセンターの予定地を訪れた。驚いたことにそこは政府が現在開発中の公的機関が集中して立ち並ぶ一等地である。アウンはここに広い土地を、2万ドルで買っていた。上昇中の地価だが地主はコミュニティーの一員で値上げをせずに譲ってくれたそうだ。景色のよい高い丘にあり抜群のロケーション。回りにはリゾート施設が立地並ぶ予定だと言う!

従ってセキュリティも申し分ない。アウンは、たとえCSジャパンの協力が無くても、いずれ彼の運営するエコプロジェクトのオフィスをここに移しさらに職能センターやゲストハウスなどもかねながら運営することを決定している。そしてBOB及びCSバングラディシュのオフィスも同時に設置する決意を固めている。

この場所を昨年最初に訪問したCSタイの矢野氏のレポートからその時の一部紹介しよう

アウンが言うには、「これまでCSの人間がバングラデシュのために延べ20人は動いてくれた。それぞれが最低千ドルは使っているはずだ。合計2万ドル。恩返しだ」

さらにプラス1万ドルで、例えば自動車運転技術の教習所が作れると彼らは言う。

自分で稼げるようになるための知識と技術を人々に与えることが彼らの目標だ。生徒にはCSメンバーになってもらい、将来稼げるようになったらドネーションを乞うという。

 

2011年12月

 

…CSセンター」いい響きだ….カンボジアに一つある…

CSジャパンからも出資があればその構想はさらに現実的なものとなり協力体制も強化され海外メンバーのワークショップなど多義に渡るCSの活動が展開しやすくなるだろうと考える。

 道中アウンはさらに希望のある話をした。

バングラディシュバンクからもし認可が下りるとブッタバンクとして正式に銀行業務ができるというのである。

「基本的に俺たちブッダバンクは違法行為でしょ…なのに大手銀行から認可が下りるなんてことあるのかい?」と俺は皮肉っぽく訊ねた。

受益者の数などの実績と地盤、銀行業務としての可能性が認められれば認可をもらえる可能性は十分にある。とアウンは目を輝かせ興奮気味に言う。

俺はなんか夢の様な話でピンと来ない…。

なぜかというと最初のステップとしてのNGO登録、それですら2年近くかかった。銀行業務の認可はさらに最低2年以上はかかると聞いていた。なので認可が下りるのはまだまだはるか先の話だと思っていたからである。

おそらく日本人の常識にとらわれた視点でものを見ていたのかもしれない…なぜならたとえ理由はどうあれ国の法を犯した違法行為である。

(こういう地域では違法が正義であり合法が悪の事も多々ある)したがってNGOを隠れ蓑にしてこっそりやりながら、銀行業務の認可にむけ模索して行くものと思っていた。

しかしここは民主国家ではない!?バングラディシュである。ありがち金融に関しての権限を持っているのは、政府より大手銀行なのかもしれない。そうであれば認可するもしないも決定権は銀行にある。ましてその名もバングラディシュバンクだ。名前の通り国営に近く最大の権力を持っているのだろう…。

その日が来るのも意外と遠くないのかも…!だといいが…

車窓から(チッタゴン入り口)
073車窓から(チッタゴン入り口)

僕達6人を乗せた車がチッタゴン市を目指し走る中、話題はやはり彼等バルワ(ベンガル人仏教徒)のことで持ち切りだった。アウンは彼等が怖いという。俺も怖いと答える。一緒乗ってる僧侶チャンドラバングシャもうなずく。

以前触れた事があるが、初めて彼に会ったのは、バンコクのCS国際シンポジウムでのアシシュとの激しい口論の時、というよりなじりあいだった。

その時の事を書いたブログがこれである。

タイのバンコクで、四方サンガの国際会議が行なわれた時の事である。14カ国の代表が和気あいあいと円になって懇談していた時のことだった。

その中にいたアシシュは、突然ジュマ(少数民族)で同じバングラディシュ人の僧侶チャンドラバングシャに向かって大声で口論を始めた!相手の気持ちを逆なでするような攻撃的な口調、他を寄せ付けない感情丸出しの口論。そのくせまわりにも分かるようあえて英語での口論は、パフォーマンスにも見える。

その間各国のメンバーは、なだめながら一時間近くただ見ているしかなかった。滅多に集れないメンバーの貴重な対話の時間が台無しにされてしまったのだ。

とにかく何をやるにしても必ずと言っていいほど、障害になるバルワの行動を何とかならないものかと皆で頭を抱える。「バルワの人間はみんなあんなのしかいないのか?もっとまともな人間はいないのか?」「それともあいつらだけが特に強情で性格が悪いのか?」

アウンは言う「ベンガル人の9割はあんなもんだ!」

これは決して偏見ではない。

バングラディシュに長く暮らす日本人や事情通の外国人から幾度と無く聞いているからだ。

活動を続ける以上これからもずうっとベンガル人であるバルワ族と先住民族ジュマの双方を関わらせ協力しながら事を進めて行かなければならない。それゆえになんとか彼等の影響力を薄められないものだろうか…他のバルワ人でいい人材が参加してくれないものだろうか…と俺たちは知恵をしぼる。

しばらくしてアウンがある提案をした。バルワと一言で言ってもたくさんの地域にたくさんのグループがいる。特にラグニア地方のバルワは彼等と一線を引くという。心当たりもあるので各地にいるバルワの僧侶、更にジュマの僧侶合わせて30人ほど招集して会議を開催する。そうしてCSメンバーを増やそうと言うのだ。

「ただし日本人の参加が必要だ。それは伊勢お前だ!」

え~俺~

しかし時間がない!それは次回だな~、、とは言っても次回はいつになるか、、、今ある問題はその時でないと解決できない、、。困った~。

日本に帰る便の関係で延長は最大3日しか出来ないと伝えると、アウンが言う「分かった3日以内に開催する。」早!そんなことできるのか…「大丈夫、今から声をかければなんとかなる」と言ったとたん彼は携帯電話であちこち電話し始めた。

そうすることでアウンも役員をいったん離れ自由にCSの活動が出来るようにする事を考えてるという。バルワでCS役員の影響力を薄めるためには便宜上自分もそうするのがいいと彼はという……。

ヤバ飛行機のケット買い直さないと!どうしよう金ねーし?

横にいた上川氏「大丈夫、予算が2万円残ってます。ちょうどバンコクまでの片道分です。これも仏様の思し召し…そう言う運命だったんです。」

さすが仏の代弁者!

…俺も腹を決めるしかない、残るか…

車窓より(チッタゴン)

074車窓より(チッタゴン)

Vol10『最終ミッションCSミーティング』

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