バンク・オブ・仏陀の道2012 Vol.3

『シャンガプリア僧侶の寺とブッダバンク』
初日に訪問したのはあのボス、いやボウズ…シャンガプリア僧侶の強い影響力のあるポテヤ近郊にあるシャプラ村だ。ボス、いやボウズが忙しいため30分の面会と時間を限定された。
待ち時間があったためドライバーに無理矢理たのんで2年前訪れたあの5階建てのビル! いや、寺がどうなってるか見に行くことにした。
見た所大きなビル! いや、寺は半分ほどできていた。グランドフロアーは真っ白な大理石の床に柱。真鍮の階段を登ると本堂があり中は仏教の宗教画をモチーフにした壁画が四方の壁一面にほどこされていた。
それらはすべて石の彫刻で出来ており同じ物は二つとない。一点一点が高度な芸術作品だ。さらにこれから設置するのであろう、数百もある彫刻の石盤が床に所狭しと並んでいた。ほかにも仏像が数体専用の部屋でつくられていた。どれも塗装はまだされていない。これから色を施される事により、絢爛豪華な寺になる事は疑う余地がない。
さらに4階の天井には巨大な円形の穴があいていた。見上げるとそこは空洞になっており螺旋のような円が幾重にも重なり高く空にのびている。ストゥーパである。外から見ると仏舎利塔が屋上からそびえ立っていた。
2010年に見たときは土台と骨組みだけだったので、進んでると言えば進んでるが完成にはまだ時間がかかりそうだ。
その間どれだけの信者の供養が注ぎ込まれた事か…その資金集めにどれだけ奔走したのか…。それは今後もしばらくつづくであろう…。
(12)壁画彫刻
(14)仏舎利塔
(15)無題
ブッタバンクは今年で3年目を迎える。うまく行っている所もあればそうでない所もある。アウンんの提案で、すべてのサイトから原資を引き上げ他の地域に移すことを検討している。仏陀バンクを必要としている地域はたくさんある。
地域の努力で増えた資金のみを残しシステムを継続してもらうことになるだろう。この時点では少なくても増資はしない方向に決まっていた。
シャンガプリア僧侶の所はどうかと言うと2010年6月に、原資75000タカを5名に貸出した。3ヶ月後に受益者からの返済金を元に女性3名への貸出しが行なわれ、計8名の受益者による融資総額は9万タカになった。
その後受益者からの返金57000タカを現在僧侶がプールしていていると言う。
返金の詳細が分からないのでこの数字は何とも言えないが、一年と9か月間全く融資がされてないこと…さらに融資していいかどうかこちらに訊ねる事じたい、BOBをあまり理解していない事になる。
本人達は増えてると言い張って認めないが、2年近くリリース無しで返金額が原資を下回ったという事は、うまく回っていないのは明らかだろう。
受益者の一人が言った。ブッタバンクには大変助けられてます。ほかにもグラミンバンクなどのたくさんのマイクロクレジットがあるが20~25パ-セントと利息が高く、週に一度の返済で大変だという。それに比べててBOBは、、、
彼は薬局のオーナーでブッタバンクから15000タカを借りて店を大きくしたのはよいが諸経費がかさみ、また新たに借り入れする事を希望しているようだ。そのためプール金の再貸出しと追加融資に期待を寄せており必死さが伝わる。
しかしそういう計画性のない受益者への融資は本来のブッダバンクの主旨とは違う。自立独立支援が目的であり、もともと定職のある人には貸したくない。ここの受益者は借金を返すためにまた借金を重ねるという悪循環の可能性も否定できない。
ましてここのコミュニティの受益者は、始め5人全員が男性で一人15000タカ(当時2万円)づつである。一人頭の平均額が非常に高い。本来ならばもっと少額にして多くの人に貸し出すべきである。
さらに5人全員がBOB実行委員ときている!かたちの上では受益者でありながら管理運営もする立場なのだ…。
開発途上国では、男が中心の社会が多く女性に発言権がないケースも多い。なので始めは理解されるまで、地域の長や男性の有力者などが中心になりやすい。
こちらの強い要望で二回目からは女性への貸出しが行なわれるようにはなったのだが、、。
BOBは本来、家庭に密着したプロジェクトだ。成功させるためにはどうしても女性の理解と協力が必要である。むしろ女性のためにあるプロジェクトだといっても過言ではない。バングラデシュで成功しているとされるマイクロ・ファイナンスのグラミン銀行は利用者の9割以上が女性たちである。
困った事に男に貸すと大抵は自分の事に使い、家族のためには使わない…。
(16)受益者と交流
結果的に回収の方向に持って行けそうな空気ではなく、ここではプールしたお金を貸し出すことは賛成さざるおえなかった。しかし増資はしないと伝えると期待が外れたのか一同顔色が変わった…。
*所感・シャンガプリアはいわゆるお坊さんのような人だ。プロジェクトの内容より、自分の権威を光らす事が大事と考えている節が多々見える。コミュニティー自体もシャンガプリアの顔色を伺っている雰囲気ある。 by Kamikawa
融資を受けられるかどうかは彼の采配一つなのだろう、、。
(17)受益者と薬局
(18)シャンガプリア僧侶と記念写真
『ウノポンの古里ポットバラ村』
同じ日、新規ブッダバンク予定地であるチッタゴン県、バルワ(ベンガル仏教徒)の暮らすポットバラ村に向かった。チッタゴン市から約一時間、幹線道路を抜け細い赤土の道を通り村に入る。幾つかの沐浴する池があり緑に囲まれたバングラデシュならではの素朴でどかな村である。
古いお寺の横にはインドにある仏教の聖地、ブッダガヤから枝分けしたという菩提樹の木が大切にまつられていた。村人の誇りである。質素で貧しい村だが、古くから仏教が根づいた由緒ある土地だということがうかがい知れる。
人口4500人、回りをぐるりとイスラム教徒に囲まれた孤立した地域である。近くにモスクがあるのだろう、すぐ隣から大音量のコーランが鳴り響いている…。
異教徒にとっては、こっりゃあ毎日たまらんだろうに、、!
この地域は四方僧伽・バングラデッシュ、法登録の役員となったウノポンの出身地である。彼は以前からブッダバンクと同じような構想を持っており、それを実現するためアシシュの紹介でCSのメンバーになった。
そのため以前から何度も村への訪問を催促されていた。本来なら昨年の6月に訪問する予定でいたのだが、昨年開いたバングラディシュでのCSミーティングで起きた、あの”スチューペット”事件!あ、いや俺とアシシュの怒鳴りあいによる失態からバルワ側との連絡は一切途絶えてしまっていたのである。
トラブった時ウノポンはその場にはいなかったが、アシシュとは従兄弟関係にあり、その手前こちらと連絡を取るのは遠慮したのだろう、、。このことはその後アウンの努力で開かれた会議でなんとか収まった。
気がかりだったのでこう訊ねてみた「僕は昨年訪問する予定で、ずっとあなたからの連絡を待っていたんですよ。なぜ連絡くれなかったのですか?」
俺もアシシュに切れて他のバルワと連絡取らなかったのだが、、!「問題が起こるたびに私情を入れるのであれば、ブッダバンクの運営は難しいです。」と俺。ウノポンはこう答えた「詳しい事情は分からなかったもので、、。」
彼はコンドミニアムのオーナーであるとともに大勢の社員をかかえる洋服製造工場のオーナー社長である。医者の息子で、自宅に行った事もあるが明らかにミドルクラスだ。はっきり言って一つの村にかかるマイクロクレジットの原資、8万や9万円ぐらい自分で負担すれば故郷のためにいつでもブッダバンクを始めれたはずだ、、。
さらには村に大きな実家が無人のまま残されていた。他の村民の家と比べて明らかに立派だ。名士の家柄なのだろう。
近所には小さくて粗末な母屋に大勢の家族で暮らす村人たちの姿があった。
大きなお世話だろうが、「使ってないのだから貸してあげればいいのに」と俺は思ってしまう、、。
それはともかく責任を持ってブッダバンクを運営し、村人のために尽くして行きたいと言ってくれその真剣さが伝わりうれしかった。
(22)集った村の受益者
(24)BOBの話をする村人
(25)村の女性達
ポットバラ村では50人もの村人が寺に集っていてくれた。僧侶もしっかり関わってくれ想像以上にしっかりしたコミュニテーに思われる。だが人々の切迫した表情から貧しさも想像以上に伝わってくる。村民曰く、少し生活に余裕のある人はみんなチッタゴンなどの大きな街に出ていってしまい、村に残っているのは貧乏人ばかりだと、、。
500人以上の女性達が仕事が無く困っているという。
相当数の受益希望者がみこまれる。他の地域とのバランスもあり原資はかぎられているだけにどう対応するべきか、、。結論は全体ミーティングの時にということでこの日は解散した。
(27)村一般的住居と住人
(28)村の女性