『バンダルバン州マルマ族のラズビラ村』
バンダルボンから車で1時間ほどで到着。
到着を待っていた受益者の女性達
出席、上川、伊勢、アウン、チャンドラバングシャ僧侶、スーラン(アラカンメンバー)、寺の住職のウーパンダ僧侶、村人20名
ラズビラ村は2年ほど前、記念すべきバングラデシュで最初にBOBが開設された場所である。アウンのNGO、エコプロジェクトの開発地域でもあり、担当者のユーケーモンクさんは日頃から農業支援などを受けている。彼はそのお返しとしてBOBを管理運営してくれている。
一年目は10名の受益者からスタート総額 81000タカ 翌年追加で12000 現在は原資の他に20000をプラスしている。
村のリーダーのユーケーモンクさん
受益者の女性達
集会をみ守るキャンの子ども達
ほとんどの受益者がまた借りたいと話しているが、返済が滞ってる人もいるようだ。中には返済を要求しに回らないと返してくれないケースなどもあり担当者も困っているようだった。やわらかく責務者に自分の手で返しに行くよう提案する。担当者は債権者ではない、あくまでも善意でやっているに過ぎない。なので精神的負担も大きいだろう。
BOBで店を始めた夫婦
同じBOBを行っているカンボジアでこういう例があった。いつまでも返済がとどこうっている責務者に幾度か催促をした事を逆恨みしたその受益者は、現地ブッダバンクのスタッフの車の窓ガラスを割ったり、陰で悪い噂広げるなどという嫌がらせが起きた。
返さない理由として、お金は仏からもらったものだから返さなくてもよいとか…原資は日本から来てるのでカンボジアで返す必要はないなど…。
このように本来のブッダバンクが理解されてないケースは、少なからずここバングラディシュにもある。
僕達は賢明に本質を伝えようと試みた。
…通常の銀行とは違いBOBは仏様を通して村に授かった宝、村の財産です。みんなで宝を磨き育て財産を分け与えるためのもの。次の人が待っています。宝を預かり恩恵を受けた者が自分の手で感謝の気持ちを込め必要としてる人に渡す。それがブッダバンクです。だから仏の銀行なのです…
と気持ちでは伝えてるのだが、いかんせんつたない英語からベンガル語に変換(汗)村人に伝わってるかどうか、、?
そこでチャンドラバングシャ僧侶の登場。このへんのBOB(バンク•オブ•ブッダ)の定義は僧侶から話しをしてもらうのがベストである。そもそも彼はこの寺の出身なのだ。まさに高僧になって故郷に凱旋したと言う感じである!
仏教徒の受益者にたいし仏の代弁者である僧侶が仏陀バンクを語る。これ以上説得力のあるシチエーションは他にないだろう。さらにCSのポリシーを熟知している彼はうってつけなのだ。
いつもけだるそうにのっそりしていて、モゴモゴと何を言ってるか分からない彼なのだが…説法しているときの彼は別人だった。
頭脳明晰に朗々と語る声は響きわたり目には仏が宿っているかのような強く慈悲に満ちた眼光。
さらに偶然というか、寺の西側の窓を背にして立ち説法する彼の背後に、夕日が差し込み彼の体はオレンジ色の光に包まれた。まるで後光を発してるかのようだ。この自然が奏でる演出効果も加わってか、村人は心を一つにしたようだった。
さすがはモンクキングである…。
説法を聞く受益者
ザ・モンクキング
結論としてアウンの提案で原資を引き上げ他の貧しい村でBOBを始めることも考慮していたが、今後少し様子を見ることとなった。
寺の住職のウ・パンダ僧侶にも積極的にかかわってもらいながら、よくディスカッションし受益者を選定すること。また一回目にきちんと返済できた人に対しては、もう一度だけチャンスを与えることなどを提案し、しっかりと自立できるようにみんなで話し合うことを約束したのだった。
『バンダルバン県キャン族の村』
出席、上川、伊勢、アウン、チャンドラバングシャ、スーラン(アラカンメンバー)、村人13名
同じ日の夕方、世界で4000人しかいない少数民族。更にその半分の2000人が仏教徒からキリスト教徒に改宗し現在存続の危機にあると言う、あのキャン族の暮らすヤナトラ村を訪問した。
総世帯数200弱、その中でも43世帯の暮らす地域である。
小さな学校で集会
地域の女性代表
話を聞く受益者と村人
一年前ブッダバンクを始めるうえで、寺院や僧侶が関われないことなど条件的にも最後までBOBを始めるかどうか躊躇したのだが、さて結果はどうであろう…。
なぜなら受益者は、全員男性で定職があり生活力もあるミドル階級の人が多い。その例として自分たちの畑で仕事をさせるためベンガル人労働者を雇っているくらいだ。
BOBのやり方も3か月目からの返済を希望したが、一年に一回の返済を要求され、受けられないと言ったが、最終的には半年に妥協させられたのである。結果的に約束は守られず一年後全員が一括返済した。
先日訪問した山奥にあるナランギリボリバラ村も年に一回の決算だが、立地的にもこことは状況がかなり違う。キャンの村は平地にあり少し歩けば街があり流通にはさして不便はない。大げさに言うとこの村の方針を押し付けられた形である。
絶滅の危機などの現状やその背景を訴えられ、訪問したはいいが政府による金融支援や欧米からなどの救済も入っており、キャンの人たちは半ば助けられるのに慣れてしまい依存するようになっていた。
村出身のハーレクイさんの熱意を受け、また彼女はCSバングラのNGO法登録メンバーの一人ということもあり、幾度かの訪問と集会を繰り返しているうちに、後には引けなくなってしまったのだ。この場所ほど融資するのに気が重かった地域はほかにない…。
そのうえ後に、彼女(ハーレクイ)はチッタゴンの大手銀行に就職し村の活動にはあまり関われなくなった。
村を訪れるにあたり、今朝しょっぱなから担当の女性ハーレクイさんに待ちぼうけをくらったせいで短い滞在となった。
この村でも原資を耳を揃えて持参して来た。だがそれは便宜上の見せ金かも知れない。回収に来たのではない事は十分知っているはずだ。
受益者の報告も信憑性に欠けるものが多かった。
例えば5000タカ借り3000タカで子豚を2匹買った。残りの2000は餌代に使ったと言う。その豚のうち一頭を育て3000で売った。もう一匹はそのまま受益者のもとにいるそうだが、結果一年後には5000タカ全額の返済が出来ている。
他にヤギを飼った人も同じ様な報告だった。
要するに借り入れ金で家畜などを購入し、まだ元を取ってないのにも関わらず全額返済できるということは、他収入があるということだ。
ブッダバンクを必要としている人はたくさんいる。他収入のある余裕のある人たちは本来ブッダバンクの対象ではない。
翌日おこなわれたCSミーティングの時のことだで、ハーレクイさんが強い口調で言いはなった!「豚を売ったら一頭20000タカにはなるはず」と…!
20000タカ?報告では3000タカ…この開きは大きすぎる。利益を少なく見せるため嘘を言ったのか…なんのために…!?
いずれにしても調査が必要だ。報告書を書く習慣がないのが大きな問題だ。唯一書ける人間のハーレクイ夫婦は村の外だ…。
提案
10タカの会費を会員は毎月払うようにしては?
貸し出す人に女性をいれて欲しい
報告書を書いて欲しい
僧侶がかかわること(キャン族の村には、お寺が一つだけ マルマの僧侶が一人だけいる)
次の会議はお寺で開催しましょう
By kamikawa
Vol.8『商店の組合員とBOBショップ談議』